このブログの内容含め、わたくし川村ケンスケが
「嵐のMVを語る! 」ライブ番組を配信しました。
無料カラオケスマホアプリ「ビオン」の「ライブ配信」機能でお送りしているレギュラー番組にて。ビオンの入手は、下記リンクより。
【iOS】https://itunes.apple.com/jp/app/bion/id1447240035?mt=8
【Android】https://play.google.com/store/apps/details?id=com.audiocn.bion&hl=ja
↓ここでやってました。
さて…
嵐の「A・RA・SHI」のMVをどう考えて作ったか?を思い返す前に、このブログの紹介を少しだけ…どうか、お付き合いください!
おすすめ音楽ビデオ
ベストテン!
…と題して、毎週水曜木曜の22:30に、邦楽と洋楽のおすすめMVのベストテンを。全くの独断でセレクトしてから、完全な数字的根拠に基づき、10位から1位までカウントダウンしているブログです。
今日は、その番外編。この一曲を取り上げます。
(かつて、このベストテンを始める前の2017年12月31日まで、「今日はこの一曲をみればいい!」と題して、オススメの一曲を取り上げるブログでしたので、今日はその原点にかえって、という感じです)
その曲は…これ!
嵐 で「A・RA・SHI」!
これ、いつもの「このブログのベストテンの調子で」書いておくと…
2019/10/9 公開
10/12 14:31 時点での、総視聴回数 2,961,703回
平均視聴数 749,425回。
です!
この数は、10/10(木) の「オススメ音楽ビデオ!ベストテン 日本版」
…で、第一位だったこの曲…
あいみょん「空の青さを知る人よ」。
2019/9/25公開
10/12 14:22時点での、総視聴回数 4,564,374回 。
平均視聴数 253,576回 。
…と比べても、3倍以上の平均視聴回数!。
ただ、新曲ではないので、チャートインにしないですが…涙。
さて、
この「おすすめ音楽ビデオ ベストテン 日本版」! のラジオ番組が、さる 2/3 (日) J-WAVE 22:00- わたくし自身がナビゲーターを務める形で放送されました!わたくしが手がけた、いろんなMVの制作秘話も!
そのラジオの内容、こちらに文章で再録してくださっています。
そして、
今日のこの「番外編」ブログの内容は、先行する形で…
このアプリでお話しした事でもあるのですが…ぜひ、後ほどアプリもご覧ください!
で、このベストテンとは…
ここ1ヶ月の音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオの
★『今週のおすすめ10曲』
を選んでしまおう!という、大それた(笑)企画。
その「ルール」は…
★川村ケンスケ a.k.a.映像大好きkk の YouTubeアカウントに「おすすめ」等々の形で現れた「音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオ」のなかから、
★川村ケンスケ a.k.a.映像大好きkk の 視点で選んだ「10曲」の中から…
★「公開開始日」が、今日から「1ヶ月以内」という条件で
(これは、若干伸び縮みします…)
★「総視聴数」を「公開されている日数」で割って…公開からの「1日平均の視聴数」を割り出し、
★その数の多い順で、チャートにしたもの!
…です。
総視聴数と、1日あたり視聴数、それらの数字の「印象」の差なんかも、ちょっと感じられて、なかなか面白いチャートです!
ということで! お待たせしました!
今日はなぜ、嵐の「A・RA・SHI」のことをわざわざ取り上げるのか?
それは…
わたくしがこの「A・RA・SHI」のMVを監督した張本人だから、なのです!(監督ってことね)
わたくしの twitter…
…でも「A・RA・SHI」MV公開時に、ちょっとツイート…なぜ、あんなセットにしたのか?というバック・ストーリーを少しだけ書きました。
改めてこのブログで、
この「国民的アイドルが世の中に登場したときの、そして、いま世の中に再び投げ込まれた彼らの」作品を作った時の思い出を、記録しておこうかなと思ったのでした。
順を追って、書いていきましょう!
①発注(笑)
wikiで確認したところ、この曲が世に出たのは1999年。したがって…1999年のある日のこと、ということになりますが…わたくしの携帯が鳴りました。
「川村さん、嵐、って知ってます?」
映像制作会社のプロデューサーさんからでした
(SOPHIAというロックバンドのMVで、いつもお世話になっている会社でした)。
「ん?なんですか?それ」
「ジャニーズの新人ですよ。見たことないですか?」
デビュー前の新グループのようでした。
ジャニーズに
(音楽ビデオを作るという意味で、そして、ジャニーズの仕事が自分にくるとは想像すらしていなかった、という意味で)
それほど(涙)興味がなかったわたくしは、
「知ってるわけないじゃないですかー(苦笑)」と返答。
「もう雑誌に出てますよー。ダメですねー(苦笑)」(これは、冗談でそう言ってた…)とプロデューサー。
時代なんですねー。
そのころは、フィッシュマンズという、自分の映像作りに計り知れない影響を与えたバンドのボーカルが亡くなって、まだ間がないあたり…という感じで、自分が監督するMV作品のほとんどはいわゆる「ロック系」。
一方、
嵐に先行する形で登場した、V6の映像がかっこよかった、ということが起きていたりで、avexがジャニーズとの関わりを持ち始めてもいた頃でした。avexは、音楽ビデオの「ルック」(画像の質というか、おしゃれさ)を変えた革命的なレコード会社という見え方でして、その「スタイリッシュさ生産機能」で、ジャニーズのグループを「アーティスティック」に変えていった、張本人的会社。
嵐は、そのavexではなく、当時はポニーキャニオンからのデビューだったのですが、その「avex的、アーティスティック表現」を取り入れようという流れの中ににあったのだろう、と思います。
と、そんな中で(いまだに理由はわかりませんが)、上記のプロデューサーさんから、わたくしのところに連絡があったのでした。
なお余談ですが、
こういうMVの監督の決定に関しては、おそらくほとんどの場合「プレゼンで」行われています…すなわち、複数のMV監督が候補として持ち出されて「あーでもないこーでもない」と、レコード会社の方々やアーティスト事務所の方々や、アーティスト本人が、検討して決定する、ということで。そんな監督選びの始まりが、この1999年あたりであった、と記憶しています。
では、この「A・RA・SHI」のMVをだれにやらせるか?に関して、そのような「検討会」が行われたかどうか?それは今となっては知るよしもない(というか、聞けばわかるが、聞くことでもないか、と思ったりしてます)ですが、いずれにせよ、この時に
「わからないけど、やりますー!」
(失礼な話で申し訳ないです…音楽ビデオが「ロックのもの」だった時代だったのでした)
と、深く考えずに軽めに返事をしたことが、20年後のこの「A・RA・SHI」MV公開を喜ぶ今の自分の状況に繋がっているのですから、まあ、どんな仕事も断るべきではないな(笑)と、しみじみ思う、そんな ①発注(笑) のおはなしでした。
②どう作る?
なにしろ、メンバー本人と打ち合わせするとか、そういうことではない状況…彼ら自身も「明日から嵐ね」と言われるような、そういう感じのジャニーズさんですから、「どういうものにするか?ひとまず、先にアイデアを!」というお話をいただきまして。
たしか、このときにはもうバレーボールの話はあったはずなので、そのモチーフを入れようと、まず考えました。
「A・RA・SHI」のイントロの、ギター・ミュート系のフレーズ、それとバスドラとスネアのからみ、ちょっとネバいベースのグリス…そのファンク的音像に対して、バレーボールが弾む感じ、と、「A」「R」「A」「S」「H」「I」の文字が手書き風に踊る。その中に、細かく「SUPER BOY」の文字が刻み込まれる。
そんなイメージを、作る前に持っていたかどうかは、もう忘却のはるかかなたですが(涙)、少なくとも、それらに近い思いは持っていたことは確かです(もしくは、編集の鴨川氏…先日「僕のエディターとしてのデビュー作でした」とのコメントをいただき、思い出したのですが)。
このイントロが「A・RA・SHI」のMVの中で一番二番に好きなブロックなのですが(いや、他の部分もいいんですが、今見ると「あーもっとこうしたらよかったなあ」とおもうことがたくさんありますので…涙)。
そして、0:26くらいからの、ギターで魅せる2小節は、こんな風にしたい、と参考にした洋楽のPV(まだ当時は、MVのことをPV=プロモーション・ヴィデオ と言ってました)がありました。いつも新しい技法をさがして、監督たちが勉強していたそんな時代。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズで「アラウンド・ザ・ワールド」(1999年)!
いきなりイントロから0:30くらいまでで出てくる「ワイプ」(絵の中に違う絵を切り込んで入れる技法)ですが、このMVで新鮮だったのが、同じ種類のシーン(色とか、同じように演奏しているとか)を縦に細かく入れている感じ、でした。
まだまだ、邦楽側が投げ込む様々なアイデアやイメージを、邦楽側が受け取る、そんな時代だったのかもしれません。
そして、2000年代〜テン年代、になっていって、デジタルで映像を作る時代になっていって、世界が「平準化」され、洋邦の差がなくなっていった、
その前時代のころの「音楽映像世界の感じ」がこうだった、と言い換えてもいいかもしれません。
そして、このMVの、0:30から後のモノトーンのシーンは…
これについては、嵐の他のMVが公開されたときの機会に、譲ることにしましょう…
では、
メインのセットはどうするか!?
これにしようと!
わたくしのなかでの「アーティスト的存在の最高峰の一組」…
これは、すでに twitterでも白状(笑)しましたが、
イエロー・マジック・オーケストラの、80年代のライブのセット。
いまみると、全然違うのですが…グリッド(格子)であることが、とにかく「アーティスティック」である!と。それが先述の「ジャニーズ・アーティスティック化計画(ぼくだけが思っていたかもしれません)」にマッチしている、と、考えたのでした。
とにかく、
「シンプルで、クールに」
そんな風にしたかった。それは実はこの「A・RA・SHI」という曲の「音」が持っていたキャラクターからインスパイアされていたものであることも、付け加えておきます。
③撮影〜編集
撮影で、初めて会った嵐の5人は…
もちろん今から思えば、ですが「(当たり前のように)初々しい!」という印象で。
なんどもなんどもダンスのリハをして、かなりの回数を踊って、撮影しました。
撮影で、今思い出すのは…
いわゆるメインのダンスシーンで着ている彼らの衣装…ウインドブレーカー…の色のこと。
実は撮影の前までは「5人とも、白の衣装!」という風に、わたくし、考えておりました…!(もしかしたら、当日もそのように考えていたかもしれません…!)ですが、
「白に黒ラインのグリッドのデザインの背景で、白衣装だと、目立たないでしょう」
という話が巻き起こり…
間奏のダンス以降で着用する準備だった「メンバーそれぞれの色のウインドブレーカー」をメインにしよう」ということになった、そんなことを、今回の映像公開に際して、思い出しました!
さもありなん!
前述した
「シンプルでクールに」
という、もともとのわたくしのビジョンは崩れたのですが。
よくよく考えたら
「白背景に白じゃ目立たないよな…」というまったく当たり前な納得感
にもたどり着き、今の「A・RA・SHI」MVになっている、それを考えると、いやあ、あぶないあぶない、ひとりよがりな思い込みはいけないね!という教訓を得た、わたくしだったのでした。
その「白衣装」は、もちろん、この「A・RA・SHI」MVの中で、メンバーそれぞれの「ワンショット」で着てもらっています。
こう見ると、はじめっからこうなるべきであるかのようにできているこの「A・RA・SHI」MVなのですが、もし、メインのシーンが「白」で、ワンショットが逆に「色ありウインドブレーカー(すなわち、わたくしの初めのプラン通り)」であったら、それはそれでどうなっていたのか?想像するとちょっと面白いというか、ちょっと末恐ろしい…実現しなかった時間軸、なのですね!
これぞ、モノ作りの醍醐味!(言い訳)。
そしてその「白衣装のワンショット」のシーン…
間奏のアクロバティックなダンスシーン以降、あまり出てきていないなあ、と、今回見返して、わたくし自身が不思議に思っていたのですが…
その理由を思い出したのでご報告!
これは…この「A・RA・SHI」という曲は「前半」と「間奏以降の後半」とでは、曲のテンポが違うのです!
それに気づかず、「白衣装ワンショット」シーンは、実は撮影の日には「曲の前半の音」でしか撮影をしておらず、
したがって…
後半の「同じ歌詞を歌っているところ」をいわゆる「口パクを合わせて、入れてみよう」としても、テンポが違うので「合わない!」のです
(ということに、撮影後、編集している最中に気づいたのでした…涙)。
テンポが変わるポップソングって、ある!?
ちょっとした衝撃。
基本的にこの頃はすでに「コンピュータでの打ち込みで曲の骨格を作る」のが普通。そうすると「テンポは一定」とするのが、いろんな意味で合理的。
こういうポップスではなく、ゴリゴリのロックでも、後から何かできるように「コンピュータと後で合わせられるように、簡単に言うと『メトロノーム』的なものを聴きながら演奏して録音する、それが半ば常識だったので、そこで足元をすくわれた!
そんな経験を、こんな大事な仕事でしてしまうとは!
と、…愕然とする間も無く、なんとか仕上げよう!
微妙にいろいろ調整して合わせて、しかも、ワンショットだけでなく、テンポが違うグループショットも、合わせて少し入れてみたりして、なんとか全体を仕上げたのでした。
ふうー、くわばらくわばら…。
これ以降、お仕事いただいた際は「テンポが一定かどうか?」は、かならず聞くことにしています(笑)。
そして、撮影に戻りますが、
この「A・RA・SHI」MVの中で「一番二番に好きなシーン」が、ラストのスローになるところ。
ここまでの小刻みな編集から一転。最後までワンカットのリップシンクシーンです。
ここの撮影は何回もやりました。初めは、カメラは近寄っていかないバージョンを撮ってみて。そして、じわっと近くバージョン。早めに近づいて、ギリギリ寄り切ったところで止まって見るバージョン…。もちろん完成版には、ベストのテイクが使われています。
この日の撮影の最後のシーンがこれで。この日はかなり「予定が押した(どんどん遅れていった)」撮影だったのですが、このラストは、回数は重ねましたが、ワンカットだったので、ここで遅れを一気に巻き返して、なんとかメンバー分は終了!
そして、イントロのバレーボールの弾む映像を撮って全体も終了、という撮影でした。
なお、
バレーボールの映像は、フィルムで撮った撮影素材を、ビデオ映像に移し替える際に、フィルムを「早送りしたり巻き戻したりすると、起きる映像的な現象」をそのまま使ったもの。
いまは、デジタルで撮るので、この「フィルム早送り巻き戻し技法」は使えないのです。そんな観点で(見る人はいないでしょうが)、楽しんでもらうのもいいかと。
④まとめ
そして、
この「A・RA・SHI」という曲に、わたくしが最初に抱いた思いを、
最後に記して締めましょう!
「ボヘミアン・ラプソディかい!」
「A・RA・SHI」の、始めのサビと、最後のサビのテンポが変わっていたことには、後で気づきましたが、
間奏のダンスシーンはあきらかにテンポを変えてきていたり、最後にサビをまるまるバラードにしたり…
そんなある種の「組曲」的な作りが、わたくしに「ボヘミアン・ラプソディかい!」という思いを抱かせたのでした。
これ決して、2019年に「ボヘミアン・ラプソディ」が再ブレイクしたから言うわけではなく、
20年前の日本のど真ん中ポップスの世界に「誤解を恐れずに書くならば、ここまで、実験的な」曲を投入した、そのことは、たしかになにかを「巻き起こした」はずだと、そんなふうに思う、2019年のわたくしなのでした。
長文ご精読、ありがとうございました!
そして、この辺りのことをちょこちょこ書いた
川村ケンスケ Twitter はこちら。
https://twitter.com/kensukekawamura
さらに、途中で紹介した…
カラオケアプリ「ビオン(Bion)」は
【iOS】https://itunes.apple.com/jp/app/bion/id1447240035?mt=8
【Android】https://play.google.com/store/apps/details?id=com.audiocn.bion&hl=ja
から!
ぜひ使ってみてください!無料歌い放題のスマホアプリです!
このアプリの「ケンP」という公式アカウントでも、嵐のことを少し書いた「動画を」公開しています!
…という今日の…
See Your Music!
でした。
BRUTUSさん…サンレコさん…ベストヒットUSAさん…こんな視点のブログ、いいですよね?(自画自賛)
…こういう風に、いろんな「観点」から音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオを紹介していく「テレビ番組」とか、もうないしね!かつては、テレ朝系でやってたときのMTVの1時間番組は、そんな感じで、「あー、この音楽ビデオを見たらいいのか!」って、一つの基準になってたなあ、と、思い出しました。
そんな気分で、毎回この【おすすめ音楽ビデオ!】を書いています。
なお、
わたくし「映像大好きkk」は、こういうブログを書くことが専門!というわけではなく、
いろんな種類の映像を作る仕事をしております。
音楽ビデオやCMが主な主戦場ですが、それらをYouTubeのプレイリストにしました。
お茶やお酒のお供に、ぜひどうぞ。
そして、
こちらでも、映像にまつわるブログ、書いてます。
『昨日より今日はもっと×2!素敵』 BLOG(イケてる大人計画)
ここでは、映像大好きkk以外に、イケてる大人たちがイケてる記事をどんどんアップしています。
ぜひどうぞ!
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今日もお読みいただき、ありがとうございました!
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